|
|
|
|
|
|
|

● ボーリス・ガケール インタビュー


Boris Gaquere

6月、ベルギーの若き作曲家件ギタリストが初来日した。まだ日本では無名だが、その活動は興味深い物がある。コンサートの翌々日、お疲れのところ、インタビュ−した。

♪ 少年時代の「耳コピ」はいい耳の育成!?

---新井---
コンサートお疲れ様でした。GGサロンはほぼ満員の盛況でしたね。

---ガケール---
ありがとう。今回は初来日でしたが、日本がこんなに暑いなんて知らなかった(笑)。

---新井---
日本の皆さんには知られざる逸材なので、まず自己紹介からお願いします。

---ガケール---
1977年ベルギーのブリュッセルで生まれました。音楽(楽器)への最初のきっかけは、父がジャズ音楽をとても好きでしたので、私と弟になにか楽器を習うようすすめました。9才の頃、ブリュッセルのアカデミーオブミュージックという音楽院に入ってギターを始めだしましたが、遊び程度で、、、初めて聴いたクラシックギターのCDはラゴヤでしたが、父はもっぱらジョー・パスやジャンゴ・ラインハルトなどでした。13才の時には、エレキギターを買ってもらい、レッドツェッぺリンなどのCDを聴いて弾いていました。

---新井---
耳コピですね。

---ガケール---
はい。遊んでコピーすることは、とても重要な要素だったと思っています。知らずしらずのうち聴音やソルフェージュの練習になって耳の育成にもなりましたし。

---新井---
クラシックギターを本格的にやりたいと思ったのはいつからですか?

---ガケール---
15、16の頃、当時はクラシックギターは本当に趣味でした。どちらかと言うとロックの方が好きでしたので、そっちの方に志しを持っていたのですが、アサド兄弟のCDを聴いた時、なにか「啓示」のような物が私を襲いました。自分の目、耳や頭が「カッ」と開かれたような、、、

---新井---
ほう。ビビビっと!

---ガケール---
いえ。「カッ」です。93年に「生アサド」を体験しました。2人で1本のギターを弾くのを見て「ワオッ」って!すぐCD全部買いました(笑)。1995年には音楽大学に入学し、願ってもない、セルジオ・アサドに師事しだしました。 96年半ば、彼はアメリカ(シカゴ)に行ってしまったので、オダイルになり、2001年6月卒業しました。

♪ アサド兄弟の魂を受け継ぐデュオ!!

---新井---
それでは同じベルギー出身の韓国2世ギタリスト、デニス・スン・オーさんとのデュオについて伺います。去年のドイツ・イザローンで聴いた時は、アサド兄弟の魂を受け継ぎ、それでいて個性的だと思いました。

---ガケール---
デニスは95年に音大で知り合い、始めはお互いデュオとしての相性を見る感じで小品を合わせていました。96年からデュオで活動しています。初めての国外遠征はドイツ・ニュルティンゲン郊外でした。その他カナダ、オランダ、スペイン、フランス、ポーランド、去年の8月までたくさんのコンサートをしました。今はそれぞれソロのプロジェクトを持っています。

---新井---
ソロの方では年間何回位コンサートをしていますか?

---ガケール---
作曲したり、コンサートを聴いたりする時間を作っているので一概には言えませんが、今までにアメリカ、ブラジル、ペルー、ウルグアイにツアーしました。 

♪ 処女作はオブリガード(ありがとう)

---新井---
1997年フランスのロッケモウ・ギターフィスティバルでのオブリガードの印象は忘れられません。弾き終わって、君のところへすっ飛んで行きましたよね。「今の曲何?」って。

---ガケール---
覚えてるよ。興奮してたね(笑)。この曲は私の初めての曲で、はじめちょっとしたアイディアをセルジオにもっていたのですが「もっと大きな楽曲にしてみては」というアドバイスで実際に次の実技試験で試してはどうかと。今まで作曲というのをやった事がなかったので、私にとってこれは挑戦でした。

---新井---
処女作の名前がなぜ「オブリガード(Obrigado=ありがとう)」になったのでしょうか?

---ガケール---
セルジオは私にとって大変偉大な作曲家であり、私の個性や想像力を信頼してくれています。またこの作曲プロジェクトをサポートしてくれた事に感謝しています。彼に捧げる言葉として彼らの言葉、ポルトガル語で「ありがとう」にしました。

---新井---
初演した後の反響はどうでしたか。

---ガケール---
まず、公での演奏前にセルジオに聴いてもらったのですが、とてもよい曲だと、大変喜んでくれてとても励みになりました。

---新井---
私は2001年に帰国リサイタルで日本初演したのですが、他にこの曲を演奏しているギタリストはいますか。

---ガケール---
知っているのは、君とフランス人のロジャー・エオンの2人。あと友人からのウワサはありますが。でも自分の曲を弾いてくれるのは本当に嬉しい事です。現在はチェロ、フルートとギターの曲とギターソナタを作曲中です。

♪ サンフランシスコでセルジオとCD録音予定!!

---新井---
デニスとのデュオCDの他、録音の予定はありますか。

---ガケール---
オブリガードを再録音しました。またセルジオとデュオでチェック・メイトという曲を2週間後にサンフランシスコで録音します。その他の収録予定曲はセルジオのアクアレルや彼の娘クラリスが書いた3つのワルツ、自分のバイレ・ファンク、ディアンスのヴィラ=ロボス賛歌です。

♪ コンサートは聴衆とのコミュニケーションを図る。

---新井---
コンサートで、プログラミングなどモットーにしている点はありますか。

---ガケール---
今回のプログラムの様に、バロック、クラシックなどの古い様式の曲から始め、2部では自分の曲やブラジル音楽などノリのよい物を弾くのが好きです。当たり前なのですが、聴衆とのコミュニケーション、雰囲気づくりを忘れないようにしています。

♪ 9月にもう一度来日!長期滞在予定!!

---新井---
今回は突然の来日でゆっくり出来ませんが、今後の予定は?

---ガケール---
私は大の日本ファンで、ベルギーでは、日本料理屋へ行ったり、日本語教室で日本語も少しずつですが習っています。次回は9月に再来日の予定ですが、もっと日本を知りたいので、数カ月滞在する予定です。

---新井---
という事は、サッカーのベルギー対日本戦は日本を応援した?(コンサートの2日前はベルギー対日本戦でした)

---ガケール---
ベルギー!!

---新井---
日本には勝ってほしかったけど、おあいこで良しとしましょう。日本が負けてたら君のコンサートも危なかったかも、、、うそうそ(笑)。次回は全国ツアーをしてもっとファンが増えたらいいですね。実際コンサートの後「すごくよかった」って電話してきた人がいました。日本を題材にした曲もできるといいですね。今日はありがとうございました。

♪ 作品リスト
オブリガード(DユOZ出版)
バイレ・ファンク(GSPより2003年出版予定)
IN CAUDA VENENUM(DユOZ出版)
チェック・メイト(ルモワンヌ)


♪ CD DUO Gaquere &Sung HO 収録曲

タンゴ組曲 ピアソラ
オブリガード ガケール
Lo que vendra ピアソラ
TRES CENAS BRASILEIRAS アサド
アコースティック・レコーディングより

Copyright © 2000-2005 Tomonori Arai. All rights reserved.